1年の締めくくりとして、感謝の気持ちを大切な相手に伝える「お歳暮」は、贈るべき適切な時期があります。
しかし、なんとなく「お歳暮は12月に贈るものであることは分かるけれど、具体的には12月の何日頃に贈ればいいの?」と思い悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。
特に最近は11月に贈るケースもあり、「あまり早い時期に贈るのは、失礼に当たらないか」と心配になってしまうことがあります。
今回は「お歳暮をいつ贈るのが適切か?」といった基本的な知識を踏まえつつ、お歳暮を11月から贈ってもよいのかという疑問にお答えします。
「贈る時期を過ぎてしまった場合の対処法やマナー」についても解説していますので、これからお歳暮を贈ろうとしている方は、事前に確認してみてください。
お歳暮は、お世話になった相手に一年間の感謝の気持ちを込めて渡す贈り物です。明治時代以降に一般的な習慣として根付いたと言われていて(※諸説あります)、年末の挨拶にまわる風習も「歳暮回り」と呼ばれています。
お歳暮はお中元と一緒に考えられることも多いですが、この2つは贈る時期が異なります。お盆の時期に贈るのがお中元、年の瀬に贈るのがお歳暮です。
お歳暮を贈る相手は数年前まで、上司や取引先などのビジネス関係や、義実家をはじめとする親戚のように目上の相手が中心でした。最近は実家や友人など気取らない相手にも贈るケースが増えていて、お歳暮の時期が近づくとデパートやスーパーなどでお歳暮商戦が加熱しています。
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「お歳暮を贈る時期」は原則として12月ですが、年々早まる傾向にあり、最近は11月に贈ることも増えています。
地域によっても若干の差異がありますが、11月に贈っても問題はないのでしょうか。
一般的に、お歳暮を贈る時期は本来12月上旬〜12月25日頃までとされていますが、狭い日本の中でも地方によってお歳暮を贈るべき時期は異なります。
中には、12月13日頃から贈るのが良いとされる地域もあります。これは、12月8日の「事始め(地方によっては「事納め」)」からお正月の準備を始める習慣があり、12月13日に行う「すす払い」で家の中や仏壇がきれいになってからお歳暮を届ける、との考えや風習に基づくものです。
もともとお歳暮の起源は室町時代頃で「御霊祭(みたままつり・ごりょうまつり)」という先祖の霊をお迎えする行事でのお供え物から始まったと言われています(※諸説あります)。
年末が近づくほど、どの家もお正月準備で忙しくなるため、12月25日までに届けた方が望ましいとされています。
一般的に、相手が関東地方在住の場合は11月中に贈っても良いとされています。
相手が年末に帰省したり、海外旅行に行ったりする予定がある場合、早めに贈っておく方が、かえって都合が良いこともあります。
お歳暮は、地域によって贈るべき時期に違いがあるので注意が必要です。
大まかには関東地方と沖縄、その他の地域で大きく分けられることが特徴です。また、地域の中でも時期が異なる場合もあるので、あくまでも目安にしつつ、事前に確認することをおすすめします。
関東地方から順に、見ていきましょう。
12月上旬〜25日ごろにお歳暮を届けるためには、品物選びや配送手配などの準備はいつからスタートしたら良いのでしょうか。ここでは、お歳暮の準備をはじめる時期について解説します。
お歳暮の発送時期が早まっている理由としては、デパート・百貨店での「早割」が影響していると考えられます。
早割とは、注文が殺到する年末近くではなく、早めに注文しておくことでお歳暮の費用が割引される仕組みのことで、近年かなり一般的になってきています。
お歳暮を贈る際は、デパート・百貨店でお歳暮を購入してそのまま発送するケースが多いため、こうした影響を受けて徐々にお歳暮の配送時期が早まっているのです。
10月中から準備を始め、11月に品物を選ぶスケジュールであれば余裕を持って準備できます。
お歳暮は贈り先や贈る品の種類が多いほど時間がかかるため、なるべく早めに取り掛かるのが望ましいでしょう。
お歳暮を贈るときには、適切な時期を選んで送るだけでなく、相手の方がきちんと受け取れるかを考えて贈ることも大切です。ここでは、相手に合わせて配慮したいポイントを2つ紹介します。
お歳暮は時期に合わせて贈ることも大切ですが、相手が受け取りやすい日時を選ぶと、気遣いの行き届いた贈り物ができます。あらかじめ相手に連絡を取って受け取れる日を確認して、それにあわせて手渡しもしくは配送します。個人に贈る場合は、出張や旅行などで長期間不在にすることがないか確認すると良いでしょう。法人の場合は、営業日カレンダーからも受け取りやすい日程を確認することが可能です。時間帯は、早朝や食事時を避けるのがマナーだとされています。
個人の場合、お歳暮を贈る人の7割ほどは、贈る件数が3件以下という調査結果があることから、全員に予定を確認するのも難しくないでしょう。ただし個人事業主や中小企業の経営者など、たくさんの取引先にお歳暮を送る場合、毎年直接連絡して日時を確認するのは骨が折れます。このように贈る相手が多い場合は、手渡しよりも配送がおすすめです。ネット通販では相手先の情報を登録しておくことで翌年以降も簡単に贈れるため、お歳暮手配の負担を軽減できて、大変便利です。
<参考>
お歳暮のアンケート調査(7) / ネットリサーチのマイボイスコム
お歳暮では、食品や飲料などの「消えもの」が人気です。だからこそ、相手が受け取ったあとのことまで考慮した品物選びができると、さらに気の利いた贈り物になります。
とくに、魚介類や肉類などの日持ちのしない生鮮食品を贈る場合は注意が必要です。無事に品物を受け取れても、その直後に不在がつづいたり、多忙で調理する時間が取れなかったりすると、口にできないまま賞味期限が過ぎてしまうリスクがあります。
そうした忙しい相手に贈るお歳暮には、缶詰や焼き菓子、ビール、コーヒーなどの日持ちする品物がおすすめです。相手のタイミングで消費できますし、常温で保存可能なものだと保管するスペースにも困りません。さらに、配送の場合もクール便ではなく通常の宅配便で届けられますし、不在時も宅配BOXで受け取りやすいのも嬉しいポイントです。
お歳暮を贈る際には、マナーがあります。
熨斗(のし)紙や贈る時期など、押さえておきたいポイントをご紹介します。
お中元を贈った方に、必ずお歳暮を贈らなければいけないという明確な決まりはありません。
ですが一般的に、お中元とお歳暮はセットで贈るものと考えられていることは多いため、お中元を贈った場合はお歳暮も贈った方が無難だと言えます。
金銭的に難しい場合は、「お歳暮」を優先して贈るのが一般的です。
お歳暮を持参する場合は「外熨斗」を付けるのが一般的です。お歳暮であることを分かりやすく示し、日頃の感謝を表す、といった意味があります。
お歳暮を郵送する場合は「内熨斗」で贈るようにします。包装紙の内側に熨斗紙を付けることで、輸送しても傷や汚れが付きにくくなることが理由です。
「自分や相手が喪中のときには、お歳暮を贈るのをやめた方が良いのでは」と考える人もいるかもしれません。しかし、お歳暮はお祝いの品ではなく、日頃お世話になっている方へ感謝の気持ちを伝えるためのものです。
そのため、自分や贈り先が喪中のときにも贈って構いませんし、受け取ることも問題ありません。ただし、忌中とされる四十九日が過ぎるまでは葬儀・法要の準備や役所・金融機関などでの手続きがあり何かと大変なので、自分の身内に不幸があったとき・相手側に不幸があったときに関わらず、お歳暮を贈るのは四十九日忌の法要が終わる忌明け後にした方が良いでしょう。
熨斗紙には「お歳暮」という文字で表書きをします。表書きとは、慶事や弔事の際に熨斗紙の上部に書く文言、つまり贈り物に関する項目のことです。
お歳暮を贈るべき時期が四十九日までの忌中期間に当たるときは、年内にお歳暮として贈ることは取りやめ、松の内(1月7日もしくは1月15日)を過ぎてから、「寒中御見舞」「寒中御伺」として贈るようにします。ただし、「お年賀」の言葉はおめでたい意味合いを持つため、喪中のときには使わないよう注意することが必要です。一般的に、お歳暮を贈るときには紅白の蝶結びの水引を使いますが、「相手が喪中なので失礼に当たるかもしれない」と心配される場合は、白い無地の熨斗に「お歳暮」「御礼」と書いて送ると良いでしょう。
お歳暮では表書きのほか、水引の下部には名入れ(贈る人の名前)を行います。
表書きと名前は、濃い墨の毛筆や、筆ペンを使って丁寧に書きます。必ず横書きではなく、縦書きで書くようにしましょう。
ボールペンや鉛筆、黒以外のペンを使って書いてはいけませんので、気をつけてください。
お歳暮のような「お祝い事の贈答品」は、縁起の良いものを贈るのが一般的です。
出世魚で神様の供え物とされてきた新巻鮭などが定番品だったことが理由とされています。
現代ではお歳暮のギフトのルールは緩くなってきていますが、縁起が悪い贈答品は避けるようにしなければいけません。
例えば「死」などの忌み言葉につながる名称の贈り物は、避けるべきであると言われています。
基本的には贈るシーンによって異なりますが、いろいろな状況に共通する贈り物もあります。
「忌み言葉」とは、不幸や縁起の悪さを連想させる言葉のことです。
例えば、シクラメンは「死(シ)」と「苦(ク)」を連想させますし、櫛(クシ)も同様に「苦(ク)」と「死(シ)」につながります。
忌み言葉だけでなく、「縁を断ち切る」という言葉を連想させる贈り物もNGとされています。
代表的な例としては、包丁、ナイフ、カッターなどの刃物類があります。
また、漢字で手巾(てぎれ)と書くハンカチについても、「手切れ」や「縁切り」を連想させる品物ですので、贈らないようにしてください。
お歳暮の時期が過ぎても、年内に届く場合はお歳暮として贈っても問題ありません。しかし、年内を過ぎてしまった場合はお歳暮として贈ることはできません。では、どうすれば良いのでしょうか。
お歳暮を贈る時期を過ぎてしまった場合は、代わりに「御年賀」として年明けに贈ることもあります。
お年賀を贈れる時期は、関東で1月7日まで、関西で1月15日までに届く場合で、お正月の門松を飾る「松の内」と呼ばれる期間中に限られます。この期間を過ぎるとお年賀として贈ることはできないため、注意が必要です。
松の内の期間を過ぎてしまうようであれば、大寒を迎える2月4日までに品物を贈るようにします。表書きは「寒中御見舞(寒中見舞い)」「寒中御伺(おうかがい)」として贈りましょう。
目上の方に贈る場合は、表書きを「寒中御伺」とする方が尊敬の念がより相手に伝わり、好印象を与えられるでしょう。
沖縄では現在でも旧正月を祝う地域があるため、「お歳暮」の熨斗(のし)でも贈れる場合があります。ただし、沖縄県内でも地域によって事情は異なるため、「お歳暮」として贈っても問題がないかどうかあらかじめ確認しておくことが大切です。
間違ったタイミングで贈らないよう、事前にしっかりと調べておくようにしましょう。
もしお歳暮の時期を過ぎてしまった場合は、お詫びの電話をするか手紙を送るのが無難です。
毎年贈っている相手には、「今年は〇〇さんから届かない」と思われるおそれがありますので、早めに連絡するようにしましょう。
年末はどうしても仕事が忙しくなる時期なので、仕事以外のことはつい後回しにしてしまいがちです。しかし、お歳暮は限られた時期に贈る、「季節のご挨拶」という意味を持つもの。
「忙しくてお歳暮を贈る時間がなかった」といったことにならないよう、早め早めに準備を進めるようにしましょう。
時間がない場合は、ネット通販でカタログギフトなどを贈るという方法もあります。
また、相手からお歳暮をいただいた場合には、必ずお礼状を送ります。お礼状は、お歳暮が届いたらなるべくすぐに出すのがマナーです。
手渡しの場合は、口頭で感謝の言葉を添えて渡します。配送の場合は品物より先に、手書きの送り状を送付するとより丁寧に感謝の気持ちを伝えられます。
どちらのケースも「今年も一年お世話になりました。心ばかりの品ですがお納めください」と日頃の感謝を素直に伝える言葉選びをすると良いでしょう。よく使われる「つまらないものですが」というへりくだった言い回しもありますが、相手によっては失礼だと感じられる可能性があるため避けるのが無難です。
お歳暮を受け取ったら、3日以内を目安にお礼状を送るのが一般的なマナーだとされています。お返しの品物を贈る必要はありませんが、相手との関係性によっては贈っても構いません。お返しを贈る時期は、お年賀として年明け〜松の内(1月7日)に、もしくはそれ以降に寒中見舞いの形でなど、少しあいだを開けて贈ると良いでしょう。
日頃のお付き合いに対する感謝の気持ちや、相手への心遣いを伝えるにはうってつけのお歳暮ですが、「いつまでに贈るべきなのか?」「何を贈れば良いのか?」といった基本的なことは意外と知らない、という方は少なくないはず。
年末が近づくと焦ってしまい、「誰に聞けば良いのか分からない……」 という場合もあるでしょう。
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サイト上では「お歳暮とお中元の違いは?」「会社の上司、親戚、友人などどんな相手に贈るべき?」「相場の金額はいったいどれくらい?」といった知識やマナーについてもまとめていますので、ぜひ選び方の参考にしてみてください。
※コラムの内容については、地域性や諸説ございます。
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