部下や同僚、親戚などから届くお中元。いただき物をしたら、お返しは必要ですよね。でも、「お中元」は「感謝の気持ち」を贈る風習ですから、お祝い事とは違います。お中元のようないただき物にお返しは必要なのでしょうか。一般的な「お中元のお返し」のマナーについてみてみましょう。
そもそも「お世話になっている」と言う「感謝の気持ち」を贈るものですので、お中元にお返しをする必要はありません。しかし最近では同僚や友人、兄弟姉妹からのお中元も増え、同等の立場であることからお返しをするという方も増えてきています。また、日本人特有の「いただき物にはお返しをする」という風習も相まって、同等の立場ではなくてもお返しをするという方が増えているようです。ネットなどでも「お中元の返礼品」とした商戦が繰り広げられています。
お中元に限らず、何かいただき物をしたらお礼をするのがマナーです。無事に届いたことを伝え、ありがとうの気持ちを伝えます。お中元の中身が生鮮食品の場合もあり、贈り手はやはり荷物が無事に届いているか心配になるものです。できるだけお礼は早くしておくべきです。
お中元が届いたら、まずは電話やメールでお礼の言葉を伝えましょう。最近ではメールでのあいさつも一般的になってきています。しかし、より丁寧なあいさつにするべきお相手の場合は、きちんと電話であいさつをしておきます。
電話でのあいさつが難しい場合、取り急ぎのあいさつではなく、すぐにお礼状を書きます。もちろん電話やメールでお礼を伝えた場合も、その後お礼状を送ります。最近ではハガキをお礼状にすることもあるようですが、本来のマナーは縦書きの「手紙」を使います。こちらも届いたことがなるべく早く伝わるよう、当日または翌日には筆を取り、翌日から数日(2〜3日)中には投函できるよう、準備しましょう。すぐに書けるように、お礼状用の手紙を常備しておくとよいでしょう。なお、親しい間柄であればこの「お礼状」を省くことも可能です。
お礼状の書き方にもマナーがあります。いくつか紹介してみましょう。
書く内容 | 例文 |
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挨拶 |
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先方の安否を気遣う |
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日頃お世話にいなっていることへのお礼 |
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お中元をいただいたお礼 |
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先方の家族を気遣う |
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先方の健康を祈る |
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結び |
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お礼状の送付が済んだら、改めてお返しのお品選びに入ります。中身はまったく同じものを避け、できれば先方の好みのものを選びましょう。まだお中元の時期であれば贈答品として選ばれるもので大丈夫です。ただし金額に注意が必要です。お返しには、いただいたものの半額〜同等額のものを選ぶのがマナーです。贈る相手が同等の立場であれば同等額のものを、立場の違う相手であれば半額〜同等額より少し控えめな金額のものを選びましょう。
そして絶対に避けなければならないのが「いただいた金額以上の、明らかに高額な商品をお返しとして贈る」こと。これは「今後お中元は結構です」という意味にも捉えられます。嬉しかったから奮発してお返しをしよう!と高額なものを贈ってしまうとかえって失礼に当たり、大変不快な気分にさせてしまうので注意しましょう。
お返しを贈る時期がまだお中元の時期(東日本:7月15日、西日本:8月15日まで)であれば「お中元」として贈って問題ありません。他に「御礼」として贈る場合もあります。また、お中元の時期を過ぎている場合、東日本であれば立秋までは「暑中見舞い」目上の方へは「暑中御伺」、立秋以降や西日本の8月16日以降は「残暑見舞い」「残暑御伺」とします。
何と言ってもやはり一番おすすめできるのは、お礼として手土産を持って伺うこと。実際にお会いし顔を見ながら気持ちを表すのが一番です。身内の近況を報告したり、先方のお話を聞いたり、その時間がとても価値のあるものになり得るためです。しかし多くの方は遠方で実際に伺うことが困難だったり、忙しくて時間がなかったりするもの。そういった場合でも「気持ち」が伝わるように、マナーを心に留めながらお礼をしてくださいね。